お茶の新芽の出る頃

歳時記:やまももの木
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山桃庵の露地の茶の木に、新芽が出始めました。
数週間もすると、各地の茶園では一斉に茶摘みが始まることでしょう。
そして例年通りであれば、5月半ばころには新茶が出回り始めます。

この頃では、年齢問わず日本茶が好んで飲まれるようになり、コンビニでは手軽にペットボトルのお茶を買うことができます。
また、昨今は広く健康思考が高まり、日本料理が世界遺産になるなど、日本の食文化が好評価され、日本茶も随分輸出されるようになりました。

お茶は栄西禅師(1142~1215)が中国から持ち帰ったと伝えられています。
栄西は帰朝後20年を経て、今から800年程前に「喫茶養生記」を表しました。
「喫茶養生記」の中で茶は“万病の薬”として紹介され、飲茶での服用が推奨されています。
それ以前の日本でも、茶は特別な効能を持つ飲料として重宝されてきましたが、栄西はさらに茶の効能を具体的に説き、飲茶を広げていったのです。

お茶の研究者の論文や著書には、茶の起源や喫茶の歴史、茶の効能など、様々な切り口で深く掘り下げる興味深いものが沢山あります。

その中でも、一つおもしろい伝説を紹介します。

その昔、「達磨大師」が修行中の睡魔を払うため、自らの瞼を切り取り、なんとそれを捨ててしまったのだそうです。
そして、その瞼を捨てた場所に「茶」が生えてきたのだとか。
この伝説は、茶の効能として先ず「覚醒作用」が認識されていたことを説いているそうです。
(茶の湯文化学会・機関誌26号、岩間真知子著「喫茶の歴史茶薬同源」中村羊一郎氏書評より)

なかなか興味深い伝説ですが、今では科学的に証明されているカフェインの覚醒効果を、昔の人は体験の中で的確に捉えていたのです。

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