今日の山桃庵:三木町棚の思い出

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この棚の名前は、表千家の四代「江岑」が紀州徳川家に出仕した三木町で好んだ棚であることから、三木町棚と言われています。江岑棚とも言います。

この棚の持つ独特な特徴について、茶道を習い始めたころ、亡き師匠が話されたお話しを忘れることが出来ません。

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この棚には引き出しがあります。
点前の終いに引き出しを引き、その中に棗を入れるのですが、引き出しを引くと棚が少し前に傾くのです。
私は棚が壊れかけていると思い、師匠の方へ目をやりました。
すると、「この棚は本歌もしっかり出来ていないものなのです。」と師匠が言うのです。
さらに「江岑さんが引き出し(箱)を大事に思い、これを生かして手元にあったと思われる桧、杉そして樅の三種木を利用して好まれた棚で、本職の手によって作られたものでないと思いますよ。」と話されました。

なるほど、天板に木釘の頭が露出して見えますし、引き出しの周囲に、ほんの少し遊びのようなすき間もあったのです。

江岑さんが三木町で過ごした日々を想像しながら稽古に励んだ初心者の頃を懐かしく思い出し、この夏の稽古に臨みました。

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